初心に戻って少し復習

たわみ量の話題が続いていたので、次に作用する力についても計算をやっていきたい、というノリなのだが、その前に少し復習をしてみたいと思う。

どのような作業でもそうだが、実際取り組もうとしている事柄を事前にイメージしてから、作業すると「よく考えてみれば当たり前だった」というような簡単なミスをなくすことに繋がる。また、いきなり、難しい式を並べ立てると、私自身、何をやっているのか段々と分からなくなってくる性格であるので、難しく考えすぎず、まず大体のイメージを理解したいと思う。そこで、定式化を行う前に、まず、シンプルなモデルにおいて、どのような速度、加速度波形になるか、想像してイメージして十分捉えてから、定式化作業に入りたいと思う。

まず、図1 のような問題を考えてみた。
地面に置かれている物体(剛体)が、後ろから、ポンッと押されて、移動した後、地面との摩擦によって停止するモデルだ。地面との摩擦というと、なにか、難しいような気がしてくるのだが、振動の教科書に記載されるような一般化モデルで表現すると、図2 のように表現できると思う。(ただし物体は返ってこないので、バネ定数項はゼロ)


図1.


図2.


これは、実際に、テーブルに消しゴムなどを置いて指で、はじいている感じを想像すれば良いのだと思う。初速度ゼロの物体は、押されて、速度が上昇し暫くした後、最高速度に達する。その後、また速度は低下し、速度ゼロになって停止するといった具合になると、私はイメージする。最高速度が 3.0 [m/sec] で、移動時間が、3.0 [sec] であった場合を例にとって考えると、以下の図3 のような感じになると思う。尚、時間のズレであるとか、停止における速度低下の方が、もっと緩やかであるとか、色々と細かな違いは、実際にはあると思う。


図3.


速度を表現できれば、あとは、それを微分して加速度。また積分して変位量を表現することが出来るので、加速度、変位量波形も、上の図3に記載してみた。

ここで、平均速度(図3 内では、Average Velocity)という値がある。これは、以下の式によって求められる。
平均速度 = 結果として移動した距離 / 移動時間
上の図3には、この平均速度というのも記載してみた。
今回の場合、移動距離が 4.5 [m] 移動時間が 3.0 [sec] としたので
平均速度 = 4.5 / 3.0 = 1.5 [m/sec] となる。
これは、図3を見たら分かる通り、速度が一定であったと仮定した場合の、速度値になる。しかし、実際にはこのような速度変化の様子は不可能ではあると思う。ここで、思い出したいのだが、力は、加速度に比例する。
F = m ⋅ a
加速度は、速度の時間あたりの変化で、速度一定であるなら、当然加速度はゼロとなる。速度一定と取り扱うと、加速度はゼロとなり、力もゼロということになってしまう。

よって、速度は一定値ではなく、時間あたりに変化していく関数(変数,変動する数値)という捉え方で定式化を行わなければ、力を求めることは出来ないということになる。

また、力が最大となるのは、速度が最大となる時間とはズレることに気づいた。まぁ、当たり前のことであったのだが、速度が上昇している途中(加速中)の途中で最大を迎える。


次に、よくある問題として、ボールの落下という現象を考えてみた。図4。


図4.


落下中、ボールは、一定の重力加速度によって等加速度運動を行う。ボールが接地後、地面から跳ね返されるまでは、ボール自身の弾力、または、地面の弾力性によって支配されるバネ・マス系の振動モデルに近い状態となる。ここで、地面との反発係数が1で、減衰は起きなかったと仮定すると、ボールが地面から跳ね返された後の速度は、ボールが接地したときの最高速度と同じで、方向がまったく反対となる。
上のことをふまえて、地面との接地までにかかる時間が 3.0[sec] , 接地中の時間が 3.0[sec](接触時間) と仮定した時の、速度波形を想像すると、図5のようになると思う。(下方向の運動を、マイナス方向としてある)


図5.


また、速度波形を微分して加速度波形、積分して変位波形も記載してみた。

まぁ、これも当たり前のことではあるが、加速度波形から分かる通り、力が最大となるのは、ボールの移動量が最大となった時であることが分かる。

また、ボール自体を弾性体と見なした上で、ボールの下部表面点を、速度の測定点と捉えた場合は、以下の図6 のようになることに注意したい。


図6.


接地している間中、ボールの下部表面点は、速度がゼロとなるので、加速度もまたゼロとなる。これでは、また力を求めることはできない。きちんと、その運動する物体が持つ質量に相当する点(重心点)を速度測定点として捉える必要がある。
尚、ボール自体を剛体とみなし、地面が変形すると捉える場合は、ボールの何処を測定しても、速度は同じであるので、ボールにおける速度測定点を何処に定義しても問題はない。

ボールの重心点については、変形前では、確かにボールの中心座標である。しかし、地面との接地後、ボールが変形している様子を図5では、上下対称形状が保たれると仮定した上で図示しているが、実際の変形している過程において、この仮定条件が完全に当てはまることは考えにくい。また、ボールの変形する、その過程において、その都度、どの位置が重心点であるのか、それを測定することは、困難であるということは容易に予想がつく。

これら、上でイメージしてみた波形を頭に入れた後、力を求める為の定式化にのぞもうと思う。次から、これらの波形のイメージ自身が、合致しているのかどうかも含めて、ある運動を行う物体に作用する力を求める方法について整理していく。

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